デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

広告業界が寒いんじゃないのか?という話

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すっかり秋というか、冬の匂いがする今日此の頃。

京都は紅葉シーズンということで国内・海外からの観光客でどこもいっぱい。京都に生まれ育った者としては、嬉しいようなそうでないような微妙な気持ちです。たくさんの方々が京都を訪れ、京都や日本の伝統や文化に触れてくださることは嬉しいことですが、毎日生活している身になると喜んでばかりもいられないことがあります。特に博物館や美術館は長蛇の列で、ゆっくり鑑賞できない状態です。。やっぱりなんでもそうですが、「適度に暇な感じ」が京都らしいという気がします。

さて秋も深まり「つるべ落とし」と言われるほどに、気がついたらあっという間に夜になっている。。そんなこんなで冬を感じる訳ですが、気温もめっきり冷え込み、朝晩はストーブを点けようかと思うほど寒くなってきました。

ということで、寒いといえばグラフィックデザイン界。例の東京オリンピック・エンブレムの件があってから、「これはパクってない?」などと事あるごとに挨拶のように言われたり、「結局あれはどうなのよ?」「広告業界もアレだね」などと、まるで僕がオリンピック組織委員会やエンブレム選考委員会の中枢に居た人間かのように質問されることも多々あります。(最近随分減りましたが...)そして、僕はまるで選考の過程を見たか、自分で行ったかのごとく説明したり...  できる訳もなく、デザイナーのひとりとして思うところを述べたりすることがあります。でも実際今どうなってるのか、あれは何だったのか分からなくて、僕自身モヤモヤしています。薄々想像はつくような気がしないでもないですが、だれか真相を教えてくださいw

と思っていたら、選考委員のひとりだった平野敬子さんがオフィシャル・ブログで考えを綴っておられます。ご本人も様々な葛藤の中、デザイナーとして、また多くのデザイナーや有識者の中から選考委員として選ばれた人間として、できる限り公正かつ感情に左右されないようにと「記録」として書かれています。
僕もデザイナーとして、その対応や考えには非常に共感できます。現在、001〜012まで綴られているのですが、一気に読み進めてしまいました。今後続いていくのか、またどうなるのか、何か真相のようなものが明らかにされるのかなど興味深く見ていきたいと思っています。


デザイナーとして駆け出しの若いころ、賞を取ることを目指して仕事(業務)でも個人でも、それこそ寝る間を惜しんで応募していたころを思い出しましたが、ある時点から国内の広告賞やデザインコンペのあり方などに疑問を持ち、一切のそういうことから離れました。そのため、個人事務所を始めた時も協会などには一切入りませんでした。今思えば若かったのですが、その代わりに地に足の着いた仕事ができたように思います。パッケージひとつデザインして数千万円という、眩しいような仕事の依頼は絶対に来ませんが(笑

 

真相 (双葉文庫)

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