デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

いざなわれた結果  〜京都国立博物館 平成知新館オープン記念展「京へのいざない」〜

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ずっと行きたくて仕方なかった展覧会に滑り込み。。


京都国立博物館 平成知新館オープン記念展「京へのいざない

 

この展覧会はタイトルの通り、オープン記念特別展だけあって、内容が素晴らしいのです。そして第一期と第二期に分かれているのですが、第一期が10月13日(月・祝)=今度の連休までだったのです。。

おそらく人が多いと言うことで、じっとタイミングを見計らってたんですが、それが今日。狙い通り、「京へのいざない」が開催されている平成知新館は空いて、ゆっくり見ることができました(笑



ポスターやフライヤーにも書いてある通り

「ズラリ国宝、ずらり重文。」

です。。
教科書や百科事典で見たことのある作品が、もう目白押し。
「国宝 伝源頼朝像」と「国宝 伝平重盛像」は思ったよりも大きく迫力があったし、「重文 宝誌和尚立像」も間近で見るとグッとくるものがあります。


行ってよかった〜。


その他、僕の興味度の高い書画や仏像もさる事ながら、法具や土器・埴輪なども圧倒的でした。



そして、会場の「平成知新館」が素晴らしい。
シンプルで簡潔ながら、美しく機能的でもありました。

なにより展示物が見やすい。カッコいい。
金属と木とガラスで構成されているんです(当たり前か)が、それらがすべて直線的なのに冷たくないのです。

また展示物を照らす照明器具が目立たず、ひっそりとおしゃれに、しかもいい感じで配置されているように思いました。

一旦3階まで上がり、順に下におりるんですが、その階段の段のひとつが普通より少し低く、でもそれが低すぎず調度良い。若い人もお年寄りもどの世代も心地よく感じるのではないでしょうか。


設計は、ニューヨーク近代美術館 新館東京国立博物館 法隆寺宝物館豊田市美術館などを手がけた世界的建築家、谷口吉生 氏だそうです。

流石ですね。
僕がグラフィックで目指す、引き算のデザインを感じました。



第二期も、必ず見に行こうと思います。




あ、10月7日から始まった「国宝鳥獣戯画と高山寺」は明治古都館で開催中なのですが、物凄い人気で入場までに1時間待ちのようでした。休日にはもっと長い時間待たないといけないようなので、ご注意ください。


平成知新館から国立京都博物館の正門方向「ロダンの考える人」をナメて、向こうの方に京都タワーが見えます。天気の良い夕方なんかは、とても綺麗だと思います。ぜひ。

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京都国立博物館 平成知新館オープン記念展「京へのいざない」
会期:9月13日(土)〜11月16日(日)
   第一期 9月13日(土)〜10月13日(月・祝)
   第二期 10月15日(水)〜11月16日(日)
   9
時〜17時まで

会場:京都国立博物館 平成知新館


 

美術手帖10月号増刊 国宝のすべて 日本美術の粋を集めた国宝を堪能する。

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宇宙兄弟と続けること

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もっと続けていれば良かった。。


ということ、ありませんか?
僕も続けておけば良かった思うことがあります。

例えば、スポーツ。
野球だとして、以下の様な問があるとします。

「野球を一生続けることができるか?」


その答えは、ひとつではありません。
それは、現役の選手として続けることには限界があるけれども、何らかの形で野球に関わり続けることは可能だからです。現役を引退した後に指導者になる道や、解説者や審判、またひとりのファンとして野球をする人たちを応援するなど、そのカタチは様々だと思います。


「野球選手」にはいつか終わりがあるけれど、「野球人」には終わりがない。

同じように「デザイナー」には終わりがないけれど、「サラリーマン」には定年があり、退職がある。。



などとつらつらと考えながら、7月30日から京都文化博物館で開催中の『宇宙兄弟展』に行ってきました。


原画展と言っても良いくらいの展示内容。

JAXANASAのロケットや宇宙ステーションの模型など、かなり充実した内容だと思います。実は『宇宙兄弟』の熱心な読者とは言えないんだけれど、「宇宙」「兄弟」というキーワードがいつも気になっているテーマなのと、そのストーリーと作者の小山宙哉氏の絵が好きだったのです。

僕も幼い頃、弟と夕暮れの琵琶湖疎水でUFOを見たという経験があります。(これはまた機械があれば書いてみたいと思います)


で、原画やラフスケッチから放たれる、そのパワーに圧倒されました。
そして、単に絵が上手いとか精密とかだけじゃない、マンガ特有の抜かれた線に改めて感動しました。


手塚治虫氏や井上雄彦氏、宮﨑駿氏の絵も好きだし、これまで何度も感動してきたんだけど、今日の『宇宙兄弟』はグッと来ました。

マンガとしてのビジュアルの力(ちから)と絵に付けられた台詞。
多分、ビジュアル以上にその台詞、コピー、言葉に引き寄せられたんだと思います。




ということで、


描き続ける。

やり続ける。

考え続ける。

デザインし続ける。


事が大切なんだなぁと、改めて思ったのでした。




宇宙兄弟展』の会場内は、撮影自由なので嬉しさ倍増です。みなさん、思い思いにカメラで会場や作品を撮っておられました。そして、僕は名(迷)言Tシャツも買ってしまったのは内緒ですw

トップの写真は、壁一面に貼られた小山宙哉氏のラフスケッチです。


宇宙兄弟展〈京都会場〉

会  期:2014年7月30日(水)〜9月23日(火・祝)
会  場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
開館時間:午前10時〜午後6時
     ※金曜日は午後7時30分閉館 ※入場は終了時間の30分前まで
休 館 日:毎週月曜(ただし、9月15日、9月22日は開館)、9月16日

http://space-bros.com/

 

宇宙兄弟 コミック 1-23巻セット (モーニングKC)

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後の祭りと祇園祭

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京都の祇園祭もいよいよ佳境にはいり、今日は「後祭の山鉾巡航」。

「前祭」と「後祭」の二回に別けて行われる山鉾巡行が約50年振りに復活し、「後祭」にはこれも150年振りに復活した「大船鉾」が見られるとあって、かなりの賑のようです。

この祇園祭の「後祭」は、「後の祭り」という諺の語源となったと言われていますが、知らない人も多いのかな。。


【後の祭り】間に合わなかったり、手遅れであることの意味。


「前祭」は巡航する山鉾の数も多く、派手で見栄えがするのに対して、「後祭」は山鉾の数が少なくて寂しく、折角見に行ったのにしょうもない。。ということから「なんや後の祭りかいなぁ」となったようです。(諸説あるようですが...)


本来、祇園祭は7月1日から31日までの1ヶ月間行われる神事で、山鉾巡行はたくさんある行事の中のひとつでしかありません。祇園祭と言えば「山鉾巡行(7月17日・24日)」と思っている方も多いと思うますが、実はその山鉾巡行の後に行われる「神幸祭(7月17日)」「還幸祭(7月24日)」が主役なのです。

この神幸祭還幸祭は、三基のお神輿が八坂神社を出て京都市内を練り歩き、また八坂神社に戻るまでのロングスパンの行事なのです。祇園祭には、京都の雅やかなお祭りのイメージがありますが、実は男臭い、荒々しい神輿もちゃんとあるのです。これ、意外に知られてません。。

もうメインのお祭りである山鉾巡航、神幸祭還幸祭は終わってしまいましたが、来年はそこら辺を覚えておいて京都に来られると、また違った楽しみがあると思います。
(このブログをアップした時点では、まだ還幸祭は行われていません


最後にこれも有名な話ですが、7月中は京都の町衆はキュウリを食べないというのを知ってはります?(← 若干、京都弁で...)

祇園祭八坂神社のお祭りなのですが、その八坂神社の紋がキュウリの切り口に似ていることから、祇園祭の期間はキュウリを断って神様に使えるということなのです。



しかし、今年の祇園祭は熱(暑)かった〜。



※写真は「前祭」の宵山の風景です。 



祇園祭のひみつ―コラムとクイズで解き明かす (月刊京都うんちくシリーズ)

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お散歩桜 京都

自然の色はどこか優しくて、心を捉える美しさがありますね。


ということで、京都の桜もそろそろ見納め。
僕が散歩や打合せの移動途中に撮ったものをアップしておきます。

今年はFacebookなどのSNSでも桜の写真が多かったですね。



しかし、神(自然)のデザイン力は素晴らしい。


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 高瀬川木屋町高辻上ル辺)

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 東本願寺前(京都駅から徒歩10分ほど)


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東本願寺前(秋には銀杏が美しい場所です)

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五条大橋西詰

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木屋町四条下ル辺

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東本願寺前(遠くに京都タワーが見える)

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 高瀬川木屋町高辻上ル辺)
最初の写真と同じ場所ですが、1週間ほどで葉桜に。

 

 

 

飴ちゃんとおばさんとお稲荷さんと

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ずっと気になっていることがあるのです。

人を呼ぶ時は「田中さん」とか「優子ちゃん」と言うのがまぁ普通。たまに「社長はん」などと呼ぶ人もいるのだけれど、この「ちゃん」と「さん」と「はん」みたいなものの区別についてちょっと考えてみました。


というのも、関西ではたまに見かける光景なんだけど、例えば「おばさん」が電車で席を譲ってくれた見ず知らずの若者に「お兄ちゃん、ありがとうな。飴ちゃんたべるか?」とおもむろにカバンの中から飴を出して渡すというのがあります。TVとかでもよく言われるので見たことのある方も多いと思います。僕の場合は、実家で寛いでいる時に何の前触れも何の脈絡もなく「飴ちゃん食べるか?」と母親が話しかけてくることがあり、普通のことだと思っていたのですが、この「飴ちゃん」の「ちゃん」が急に気になってしまったのです。

人を呼ぶ時の敬称としての「〜さん」や「〜ちゃん」は何となく理解できます。自分からの距離が近いと感じている人には、その親近感から「〜ちゃん」と言ってしまい、オフィシャルな場所やそれほどまだ親しくない人には「〜さん」となる。ビジネスの場合では「〜様」と呼ぶ場合も少なくないと。業界の場合は、親しさをアピールするためなのか割と初対面に近い人でも「〜ちゃん、元気?」などと言ってくる自称プロデューサーが多くいらっしゃいますw


で、僕の生まれ育った関西、特に京都ではあらゆるものに「さん」を付けて呼ぶことが多いのです。

お芋さん
おあげさん
おくどさん
お豆さん 
お稲荷さん
天神さん
八坂さん
etc...



食べ物や神社、道具などに感謝して、畏敬の念や大切に思う気持ちから「さん」をつけ、親しみを込めて接する気持ちは大変よく分かるんですが、小さい頃からなぜ「さん」がつくのか分からないものがひとつあります。それは…


「うんこさん」


毎日つき合うための親しみなのか、これを投げつけられでもしたら敵わないからなのか…

おそらく昔は病気や体調を知るためのものだったので、大切だという思いから「さん」を付けたのではないかと僕は思っているんですが、さて本当のところはどうなのでしょうか。


あらゆるものに畏敬の念を持って、大切に使ったり、感謝する気持ちはものづくりの上でも大切だと思います。そのものを良く知り、それを使う人を知り、色んなことを考えて大切につき合って行くために丁寧にデザインする。

やはり創造は想像からなのです。




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丁寧なほど、おそろしい 「京ことば」の人間関係学

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