デザインの余白

京都のデザイナーでディレクターの徒然メモ。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

解体され消失していく京都の町家

f:id:gridGraphic:20190422120300j:plain


僕の事務所は、所謂「京都のまちなか」にある。御所近辺や北の方の「京都人」からすると、ギリギリまちなかと言われる五条なんだけれど。僕は伏見稲荷で生まれ育ったので五条でも十分まちなかで、今でも「町家」がたくさん残ってる。


そんななか、この数年流行っている「インバウンド」とやらで外国からの観光客が激増し、ホテルやゲストハウスというものがあっという間に増えた。僕の事務所がある町内は、五条通から万寿寺通までのたった70〜80メートルほどの通りで、戸数にして20数軒しかない小さな町内。マンションとアパートがあるから、実際に住んでる家はもっとあるけれど、それでも50軒もないはず。

その町内に、この数年でゲスハウスが3軒、ホテルが1軒建った。そして今年に入って、老舗の鰻屋さんが廃業して更地になり、今またその向かいの町家が更地になろうとしてる。おそらくその2軒ともゲストハウスかホテルになるのだろう。

最近落ち着いてきたとはいえ、京都はプチバブル。場所にもよるけど、50坪ほどの土地が数億円になるとの噂もあり、維持にお金が掛かるから高いうちに売ってしまえという空気が無いこともない。高齢化でお年寄り一人になった町家をこの先誰が管理していくのか、家賃は無くとも維持するにも費用は掛かるし、家を継ぐべき子どもたちは遠く離れて暮らしている。。時代の流れで仕方のないことなのかも知れないけれど、なんだか寂しい。

去年も京都で最古級の町家が消失したという記事が出ていた。 

www.kyoto-np.co.jp


この10年ほどで6,000軒近い町家が取り壊され、消失したという話もある。。


町家を取り壊してホテルになったり、ゲストハウスになるのは百歩譲って良いとして、ペカペカのもっさい建築物があふれるのが気になる。景観条例とか御大層で面倒な条例を持ってるのに、建物の高さとか色とかだけにうるさく、その建築物のデザインや使用する素材、周りとの協調性などはあまり規制されない状態がもう数十年も続き、ヨーロッパの古い町と同じように歴史のある京都の町が、それら海外とは次元の違う理屈で安物の上辺だけの景観にされ、ちぐはぐなパッチワーク状の町になってしまっている。

そして、今また「インバウンド」の美名のもと、町家を解体は続いている。京都市も宿泊税みたいなことをするなら、町家を解体しないで済むように助成するとか、それでも宿泊施設を作る場合は特別高い税を課すとかやるべきことはあるはずだと思ったりする今日このごろ。

100年、200年という間、残されてきたものを1週間程で壊して、ひと月程で建ててしまう。もっと時間を掛けて考えることもあるだろうし、それだけの覚悟を持ってお金を掛ける必要もあるだろうにと思う。

どうせ壊すなら、ちゃんとしたものを作ってくれ。 ほんまに。

 

京都の町家を再生する

京都の町家を再生する

 
京町家拝見 (SUIKO BOOKS 161)

京町家拝見 (SUIKO BOOKS 161)