デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

京都のお土産はやっぱり阿闍梨餅が良いんです

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僕はよく手土産に「阿闍梨餅」を持って行きます。

上品なあんこの甘みともちっとした皮がたまりません。大好きです。最近ではすっかり有名になりましたが、持って行くと鉄板で喜んでいただけます。

そして京都には様々なお土産があり、いつも「阿闍梨餅」ばかりを持って行く訳にもいかないので少し悩ましい時があります。そんな時は、僕が食べたいものやその時欲しいものを持って行くようにしています。そうすれば、向こうで「折角なので、一緒に食べましょう」みたいな事になっても嬉しいし、僕の好物を知ってもらいながら話が広がるからです。




そう言えば、とても悩ましい「お土産」がデザインの世界にもあります。


それは何かと言うと。。

主にプロデューサーと呼ばれる方や営業職の方がお得意様(クライアント)から打合せに呼ばれたり、まだ依頼がない状態で様子伺いなどする場合に発生することが多いようです。要するに「手ぶらでは行けない」や「いつも御社のことを考えてる」感じを出したいので「なんか作って見せたい」というもの。

デザイナーからすると、「仕事のための仕事」という感じですが、これが意外と多いのです。フリーランスになってからは随分減ったというか、僕が受付けないためにこういう事例に遭遇することはありませんが、それでも稀に遭遇します。営業やプロデューサー的な人がこういうことを頼みたくなる気持ちも分からないではありませんが、ほとんどの場合はギャラが発生しません。もしくは、ちゃんとすると言いながら本当の仕事となる案件にインクルードされることがほとんどです。



で、この「お土産」の質(たち)の悪いところは、持って行ってもほぼ採用にならないどころか、持っていく本人が話しの取っ掛かりにしたいためだけなので、なんの意味も効果もないというところ。全くのムダなのです。(極稀にヒットすることもあるようですがw)さらに質が悪いのは、持っていく本人もそのことを分かっているということ。本気なら、お土産じゃなくてちゃんとした企画書なりを作るはずですし。。

自分で時代を感じたり、得意先の現在の状況などを把握していれば「とりあえず話のネタに何か持っていく」ものなんて不要なはずです。そして、依頼があったならしっかりと打合せをして、その答えとなる企画やデザインを提案すれば良いのです。



お土産を欲しがる人は「できたモノを見ないと、分からないクライアントなんだよね〜」みたいなことを言いますが、ちゃんと説明できていないだけかも知れません。いや、できないのでしょう!w

確かに口で何十回と説明するよりも、デザインに落とし込んだモノ(ラフやカンプ)を一回見せる方がより分り易いし、結果的に楽なのですが、お土産を欲しがる人は、そのラフを見たクライアントが言うことをそのままオウム返しに持って帰って来ます。そのデザイン案に特に興味も思い入れもない他人ごとだからです。ということは、このお土産を欲しがる人は自分の体裁だけで、クライアントのことなどそれ程考えていないということになります。

独立して間もない若いデザイナーなどはよくこれにやられますが、毅然とした態度で「意味のないデザインはしません」と言いましょう。もしくはしっかりとギャラの交渉をするくらいの強かさがないとこの業界ではやっていけないかも知れません。特に関西では。。



ということで、最近久しぶりに「お土産ちょうだい」的なことを言われたので、一気に書いてしまいました。みなさん「お土産」には注意しましょうね(笑


 

 

BRUTUS特別編集合本 日本一の「手みやげ」&「お取り寄せ」は、どれだ!? (マガジンハウスムック)

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