デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

忙しくなる名刺

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たまに幼なじみや親戚などと会うと「なんの仕事してるの?」と聞かれることがあります。そして、以下の様な会話になります。


親戚「で、どんな仕事してるの?」

僕 「デザイン」

親戚「ほう。どんな服作ってるの?」
  「どこのブランド?」

僕 「いや、服とかじゃなくて...」

親戚「え?」

僕 「グラフィック・デザインというか広告とか...」

親戚「絵描いてんのか? ふ〜ん」


はい。
僕は親戚の間では絵を描いていることになってますw

もう随分前に亡くなったお祖母ちゃんに至っては、僕は「看板描き」だと思っていたようです。たまにお風呂屋さんの壁に絵も描いていたことになってたようです(そんな事実はないんですがw)


ということで、どんな仕事をしているかという事を説明するのは非常に難しいのです。僕の場合は、グラフィック・デザインは勿論ですが、デザイン全般からイベント企画、商品開発、人の紹介、モノ探し、場所のセッティングまで相談されれば出来る限りのことをやります。そして、すべてが僕の中では「デザイン」の範疇だったりします。

こんな多岐に渡る仕事の内容を一言で説明するのは難しく、またそれをしたところでピンと来ないことは分かっています。なので「どんな仕事してるの?」に対する答えは「デザイナー」だけで、これが何となく分かりやすいみたいなのです。



さて、今日のお題。


僕はいろんなことをしているというよりは、いろんな相談を受けることが多く、やっぱり「デザインしてください」ということがほとんどです。そんな中、最近はSNSのお陰なのか「名刺」をご依頼いただくことがあります。

そして有難いことに僕がデザインをすると、皆さん「仕事が増える」とか、「忙しくなる」とか、「業績が上る」とか言ってくださいます。確かにそういう効果があるのかも知れません(あるはずというか、あって欲しいですがw)。


でも、実は。


僕のデザインが良いということもあるはずですが(笑)、依頼者の気持ちが大きく変わったはずなのです。

新しい名刺とちょっと変わったデザインに、その依頼者自信のテンションが上がり、また嬉しさもあって、色んな人に見て欲しくなって、いつもより配る機会を自ら増やしているのです。そして、決して安くはないデザイン費用を支払うことで、少し自信が持てたり、その部分を誰かに話したくなってしまうのだと思います。

そして新しい名刺が話のネタになり、結果的に営業につながったり、仕事の機会を知らず知らずに自分で増やしたりしているのです。名刺を依頼したのも、デザインを決定したのも、多くの人に配ったのも、実はすべて依頼者本人なのです。自分でそういう機会とチャンスを作ったのです。僕はそのモチベーションをデザインのチカラでほんの少し押しただけなのです。

デザインは無から有を生み出すのではなく、情報の整理と再構築であり、なんらかの問題解決の方法だったりします。名刺はものすごく小さい紙面に、その重要かつ必要最小限の情報が詰まっています。僕はグラフィック・デザインのなかでも名刺はかなり難しいと思うし、また楽しい仕事でもあると思っています。


稀にパーティーなどで名刺交換をする際、その場に居合わせた全員が僕のデザインした名刺だったりすることがあります。そして皆が「何となく似てる」という空気になったりする時があるのですが、それは名刺のデザインが似ているのではなく、僕にデザインを依頼した皆さんのセンスや波長が、バッチリ僕と合っているということにしておいてください(笑




トップの写真は、僕の名刺です。もし欲しいという方が居らっしゃるなら、ご一報くださいねw