デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

ふらっとデザイン

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最近話題の「フラットデザイン」。

 

Windows8あたりから話題になり始め、今や「フラット化」が良いことのようになってきた気がするんだけど、ちょっと待った!

 

フラットデザインって本当に良いのか?

そして、これが加速するとどうなるのかを少〜し考えてみました。

 

 

 

フラットデザインって何?

 

まず「フラットデザイン」の反対が「リッチデザイン」と言うことになるんだけど、簡単に言うと平面的なものをフラット、立体的なものをリッチと思えばよいらしい。言葉の通りなんだけど(笑

 

フラットデザインって何か?については、こちらのページが分かりやすいのでご参照ください。“だいたい40秒くらいでわかる「フラットデザイン」について

 

 

もうすぐ、iOSもフラット化するらしいんだけど、なぜに今?と思います。

これから先、PCもスマフォもタブレットも「高精細化=Retina(網膜の意)」して行くのは確実だし、通信速度も速くなって、記憶媒体も昔に比べると飛躍的に大きくなっているし、「クラウド」にしたって、今やギガバイトが当たり前。。

 

扱うことができる情報量が多く、処理速度も速くなっているのに、「フラット」化してデータ容量を減らすという逆行現象に少し違和感を覚えます。

 

何よりも「フラットデザイン」は、誰でもが簡単に、スッキリしたデザインができるようになると思っているのが危険なんだな。。

 

 

 

フラット化の先に

 

影やグラデーションが無く、立体感の無い、より平面的なデザイン。

その分、色や書体の選択、情報のイラスト(ピクトグラム)化が必要となってくるんだけど、このシンプルで平面的なデザインということは、結果「似たようなモノ」が溢れることになってしまうように思います。

 

フラット化=究極の簡略化は、情報をどんどん削いでいく作業なのだけど、逆に言うとどの部分を残すのか?が重要になってきます。

 

例えば、トイレの男性と女性のアイコン。

人型で男性がブルー、女性がレッドだとより分かりやすいし、誰が見ても認識出来ます。

しかし、これをデザイン的に発展させ、所謂フラット化の方向にすると「男性が四角」、「女性が丸」という究極にシンプルな形状にしたとします。色は男性がグレー、女性がレッドという感じだとまだ何となく分かりますが、中には色の判別ができない方もいらっしゃるのです。そうするとただの「四角と丸の黒っぽいマーク」になってしまいます。

 

結局は、「MEN」「WOMEN」などの言葉を添えなくてはならなくなり、当初のシンプルで直感的なアイコンでの表示ができなくなってしまいます。。本末転倒ですね。

 

 

 

実はデザイン的には難しいのでは...

 

今すでに施されているフラットデザインとなると、Google PlayのページやYahoo!のトップページなどが早かったんだけども、色んな意味で分かりにくくないですか?

 

Google Playは、とくにスマフォ版で顕著ですが、フラットになってどれがボタンなのかが少し分かりにくくなっています。そして、Yahoo!JAPANに至っては、どこがフラットになったのかと探さないとわからないレベルです。実は、Yahoo!JAPANのロゴなどの影が無くなったり、そのまわりのアイコンが平面的になったりしただけなのですが...

 

これから「フラット化」が主流になることで、所謂リッチデザインよりもシンプルで直感的にその意味を理解する、またはそれが何かを判別できるようになればいいんだけど、そうすると同じようなアイコンやマーク、デザインが増える事になりそうです。

 

「非常出口」のような万国共通の言語を必要としないピクトグラムならそれで良いのですが、僕は無理ににフラット化するよりも、立体感があってもちゃんと識別できるものがふさわしいものがたくさんあると思うのです。シンプルで優れたデザインであることは必要なんだけども。。流行りに乗って、お手軽にふらっとデザインしてはいけないような気がしています。

 


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