デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

親指の爪

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僕はサムネイルを描くのが好きで、得意としています。


打合せの途中でサラサラっと描いて、その場でクライアントやスタッフに見せることもあれば、打合せの後に「次はサムネイルを送りますので、方向性を絞ってからラフやカンプを作りましょう。」と言うことが多いです。


ラフやカンプは確かにビジュアルも作りこむので、相手にとっては凄く分かりやすいんだけど、例えばメインビジュアルを構成する際、レンタルポジやどこかのカメラマンが撮ったものなんかを「アタリ」として貼りこまざるを得ない。

ラフやカンプのためにカメラマンに撮影を依頼する場合もあるんだけれど、これは稀だと思います。最近はスマフォでもそこそこ良い写真が撮れるので、自分で簡単にラフ画像を撮ったりすることも増えたと思います。

ほとんどの場合は「アタリ」=「仮のもの」で、キレイだったりカッコよかったりするものを使ってラフ・カンプを構成すると思います。そして、ありがちなのが最終的に刷り上がったものよりも「ラフ・カンプの方が良かった」ということだったり。。


ラフやカンプは最終的な制作物の謂わば「設計図」みたいなもので、そのラフを基にクライアントの意向を聞き、コピーライターに発注し、カメラマンに撮影イメージを伝えるものとなります。

それはそれで良いんだけど、ラフで使用するビジュアルをどこかから持ってくる限り、結局は「有りもの(借りもの)」のイメージとなるので、できるかぎり初期段階では手で描くことにしてるし、学生やスタッフにもそれを教えて来ました。

描くためにはそのモノをよく知らないといけないし、想像力やその他の知識も必要になります。そして、「手で描く」のは結構面倒くさいし技術もいるんだけど、慣れれば誰でもサムネイルは描けるようになるし、上手く見せるコツもちゃんとある。なにより、ラフ用の画像を探して何時間もネットや本屋を彷徨うことがなくなるし、自分の中の考えやデザインを整理する事ができる。シャシャっと描いて、違うと思えばまた描き直せば良い。そんなに時間の掛かることでもないし、僕はひとつの仕事でサムネイルを何枚も描きます。


ま、競合のプレゼンなどでどうしても勝たないとならない時なんかは、見栄えのするカンプが必要になるんだけど、それはそれでテクニックが別にあるのですが。。




デザイナーはビジュアルを作る、見栄えの良い物を作ることも大切な仕事だけども、本当はその内部にある考え方やものの伝え方、方向性・今後の展開の仕方だったりします。そこをペラッとラフだけで見せるのはなかなかに難しい。

なので僕はクライアントから話を聞き、色々話をする時間を必ず作るように心がけています。その中でラフやカンプが必要と思えば作るし、そうじゃなければサムネイルでどんどん進めます。

そして、クライアントがカタログの制作を求めていても、有効でないと判断したら別のものを提案します。今回はDMがいいんじゃないかとか、今後のことを考えるとWEBサイトを持った方が良いですよとか。。


なので、オーダー有りきではないので、余計にクライアントと話す時間が必要なのです。そして、そうすることがクライアントのためになると信じています。

 

 


誤解を恐れずに言うと…


デザイナーは、クライアントの言うことを聞いているだけではダメ。
そして、基本は手で描けっ!w

 

 

 

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