デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

烏口と尖り頭

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今日はこのブログのタイトルにもなている、ロットリングについて少し話します。

もはや「ロットリング(Rotring)」というのを知らないデザイナーも多いと思いますが...

 

その昔、グラフィックデザイナーが「図案家」と呼ばれていた頃。

罫線や図面の細い線を引くために烏口(からすぐち)というものを使っていました。この烏口とはカラスの口のような形状をした二枚の羽の間にインクを溜めて、線を引くという道具です。(詳しくは、ググってください)細い線を引くには、この口の先端をヤスリで磨き、薄く細くする必要があります。また、まっすぐに同じ太さの線を引くにはコツと技術が必要になります。

 

昔は罫線一本を引くだけでも相当の技術が必要だったのです。

 

その訓練を要する罫線引きを飛躍的に楽に、しかも正確に同じ太さの線が引ける道具として「ロットリング」は世界中で使われていたのです。。

 

 

僕が丁稚のころ、朝出社するとケント紙が机に山積みになってて、その紙には「210×297」とか「新聞全15d」などと原稿サイズが書かれています。まずはそれらのケント紙に「トンボ(トリムマークのこと)」を引くのが一日の最初の仕事でした。

このトンボ引きでロットリングが大活躍。0.1mmの極細でまっすぐに、そして素早く美しく、純白のなケント紙にただひたすらに線を引いていきます。慣れてくると鼻歌まじりでできるのですが、気を抜くと線が歪みます。トンボのような短い線なら問題ないのですが、新聞罫など長い線を引くときは息を止めて一気に引いていました。

 

こうしてデザインをする前にも、かなり緊張する準備や儀式が必要な時代でした。

今やIllustratorで一瞬の作業です。

 

おっと、たった罫線一本を引くためだけで、こんなに話が出来てしまうとは。。

ロットリングのお手入れ方法や引き方のコツなど、まだまだ話せば長いのですがこのくらいにしておきます。

 

こんな話、面白いですかね?w

 

そうそう、タイトルの「尖り頭」とは、僕がロットリングでしこしこと罫線を引いている頃の髪型がピンピンに尖っていたのと、生意気で「尖り坊主」と言われたことから思いつきました。。

 

 

ま、デザイナーはどっか尖ってないと、やっていけないと思います。

情報のアンテナも感度を高めて尖ってないと良いデザインはできないし、アイディアなんかの引き出しも多くないと。。

 

ということで、デザインする際のものの見方や考え方なんかも、ここでお話しできればと思います。。

 

 

では、また。

 


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