デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

五山の送り火 父と師とデザイン

今日は、816日「五山の送り火」の日です。京都の夏といえば猛暑の祇園祭、そして五山の送り火で少し秋になる。そんな感じです。まだまだ暑い日は続くのですが、お盆休みの最終日ということもあってか、サザエさん症候群のようなもの寂しい気持ちになります。


大文字焼きじゃない

東山如意ケ嶽の「大文字」が一番有名なのもあって、よく「大文字焼き」と言われる方がいらっしゃいますが、正式には「五山の送り火」です。ほかには、金閣寺大北山(大文字山)の「左大文字」、松ヶ崎西山(万灯籠山)の「妙」、東山(大黒天山)の「法」、西賀茂船山の「船形」、及び嵯峨曼荼羅山の「鳥居形」の五つが午後8時から順に点火され、お精霊(しょらい)さんと呼ばれる死者の霊をあの世へ送るとされています。

今はネットで生配信(五山の送り火ライブ)されたり、KBS京都(五山の送り火特集)BSなどでも中継されているので、京都にいなくてもどこからでも見ることができるようになりました。僕が小さな頃は、伏見稲荷大社近くの橋の上から直に見ることができましたが、今は高いビルができたせいもあり見ることはできません。

さてお盆と言うことで、僕も実家に帰ってお墓参りをし、仏壇に手を合わせて来ました。実家と言ってもすぐ近くなので、いつでも帰れる距離です。友人たちのように東京や海外から、家族全員で帰ってくることを思うと本当に気楽なもんです。実家が伏見稲荷、お墓が東福寺とこれまた近い距離なのでいつでもお参りできるはずなのですが、仕事が忙しいと言いながら盆暮れだけのお参りになってしまっています。


父と師とデザイン

今年は父が亡くなってから33回目のお盆になり、剣道(道場)の師の初盆となります。父と師匠は、弟子の父親と剣道の師という関係を超えて、幼馴染のように語り、呑み、笑い、喧嘩もする関係でした。年こそ父の方が上でしたが、兄弟のように見えることもありました。二人とも負けず嫌いで、意地っ張りで、天邪鬼な厄介な人たちでした。酒を呑む父と師に挟まれ、僕は説教されたり、色んな事を教えてもらいました。当時は早く終わって欲しいとばかり考えていましたが、今となっては永遠に続いて欲しくもある時間でした。

数年後、父は事故で急逝するのですが、その後人生に悩み自暴自棄になっていた僕を救ってくださったのは師匠であり、父の大きな愛だったのですが、そのことに気づくには16歳は若すぎました。それから紆余曲折あり、結果的には父の死が僕をデザイナーにすることになったようです。(そのあたりの話は長くなるのでまた気が向けば書こうと思います)


ともあれ、15日の「終戦記念日」と16日の「五山の送り火」を迎えると、毎年亡くなった身近な方々を思い出し、色んなことに感謝する気持ちになります。なんだか懐かしくて少し寂しい気分もするのですが、色んな命を感じありがたいと、年を取る毎に強く思うようになりました。

ということで、今年も命あることに感謝し、そして僕にできる何かを伝え、繋いでいけるよう願いたいと思います。

8時過ぎには、「明日から仕事やぁ」と現実に向き合わねばなりませんが