デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

1964年の東京オリンピックのロゴが「最高の五輪ロゴ」である理由

日中は外に出るのが危険だと感じるほどに、毎日茹だるような暑さが続いてますね。

年齢からくる体力の低下なのか、それともこのところ世界中から観光に押し寄せる人で、京都の気温が急激に上昇したのか分かりませんが、兎に角暑いです。

ということで、開催が危ぶまれていたブラジルの「リオ五輪」も蓋を開けてみれば、なんだか普通に盛り上がっていますね。危険なことや事件的なことが報道されないだけなのかも知れませんが。。

8月10日(日本時間12時)現在、日本人選手の獲得したメダルは14個。競泳=4、体操=1、ウェイトリフティング=1、カヌースラローム=1、柔道=7と大会も5日を過ぎて更に盛り上がっていますね。まだあと12日間ありますので、日本選手団を応援したいと思います。


さて、久しぶりにブログを更新しようと思ったのは、この記事を見たからです。

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なんと、世界最高点を獲得したのは「1964年 東京夏季オリンピック」のロゴとのことでした。さもありなん。。というか、日本人以外にもこのデザインが理解され、評価されたことが素直に嬉しいと思いました。

僕が学生の頃、いろんな海外のデザイナーの作品や世界中の広告などを見て、憧れをもって模倣を繰り返しながらデザインについて学んでいた時にはそれほど気にならなかったのですが、プロとなってから亀倉雄策氏の仕事をより知るようになり、プロとしてこの東京オリンピックのデザインを改めて見た時には衝撃を受けました。こんなにシンプルで力強いデザインがあることに、そして「日の丸」をこれほどストレートに持ってくることができるだなんて。。また一連のポスターの躍動感あるビジュアルと絶妙に計算された構図、デザイン。今でも見るたびに勇気が湧いてくるような気がしますし、時代を超える普遍的なデザインがあることに感動します。

僕のデザインの根源はこの東京オリンピックにあるのかも知れません。誰が見ても分かるシンプルでストレートな表現。そして見る人を魅了する強さと、ロゴやポスターのビジュアルだけでなく、その向こう側にある希望や意志までを感じることができるようなデザイン。計り知れないほどの時間、思考錯誤したであろうその結果、ものすごくシンプルにアウトプットされたデザインは、まさに僕の理想です。なにより時代を超えるというか、時間に左右されない、また言葉や国や人種、階級などにも左右されないものがあると思うし、この時代の日本や日本人が向かうべき方向までもが示唆され、そこに向かうための日本人全員のシンボルとなったことが、なによりもスゴイことだと思います。

とはいえ、この「1964年 東京夏季オリンピック」のロゴは、ある意味反則というか、ど真ん中の王道直球過ぎですが、この時の日本のエネルギーやモチベーションを表し、世界へ向けての決意表明をするのにこれ以上ないデザインだと思います。しかし、後の時代のデザイナーとしては、これをやられてしまうともう何やっても霞んで見えるし、比較されるのが正直辛い。。そういう意味では正に唯一無二のデザインなので、まったく別の方法論や切り口がないとこれには勝てない。勝ち負けじゃないんだけどもw

次の2020年東京夏季オリンピックのロゴ(エンブレムって言うんでしたっけ?)の是非は置いておいて、本来のオリンピック精神に基づき、これからの日本人の向かうべき未来が見えるような、そんな大会になって欲しいと思いながら、明日から始まる夏休みを過ごしたいと思います。リオ五輪でアドレナリン出しまくりながら(笑

 

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