デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

フリーランスで食っていくということについて

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今年に入ってから暖かい日が続き、ゆったりとした気分で居たのですが、1月も終わりに近づき、仕事もゆったりし過ぎていていることに気づいて少し焦っているフリーランスのデザイナーです。

ということで、Facebookでシェアされてた記事を読んで今まで考えてもみなかったことを少し考えてみました。その記事というのはこちら ↓

biz.moneyforward.com

「10年経ってもフリーランスとして食べていける人の6つの特徴」ということで、タイトルからして気になってしまいます。記事を読んでなるほどと思うところもあったし、僕の場合は違うなぁと言うところもありました。何がどうなのかはリンク先でブログを読んでみてくださいね。

僕はフリーランスになって17年目になります。改めて年数を文字にすると結構長い気がします。会社に勤めて給料やボーナスをいただいていた期間(10年)よりもフリーランスの方が長くなってしまっています。まぁ何とかなるもんだなぁという感想ですが、安達裕哉氏のブログ(上記のリンク参照)を読んだことを切っ掛けとして、僕もフリーランスとしてデザイン(主にグラフィック)をする上で、決めていることや気にしていることをまとめてみます。



1.ウソはつかない

ロゴやマークを作ったり、名刺をデザインしたり、ビジュアルを作るグラフィックデザインの部分だけであれば、デザインする上でウソも何もありません。しかしこれが広告的要素が入る場合、ウソが混ざることがあります。ウソというよりも少し誇張して表現することや何かに例えたり、置き換えてものを言うことがあります。広告手法としては当たり前なのですが、「より分かりやすく表現すること」や「よりインパクトを与えるため」や「強い関心をもってもらう」ものを毎日考えているとエスカレートしてしまう場合があります。毎日刺激を受け続けると同じ刺激では物足りなくなるように、感覚が麻痺することがあります。

もっと分かりやすく、もっと伝わりやすく、もっとインパクトのある、もっと美しく....という「もっと」とは、常識的な見方から少し角度を変えて見せたり、一般にはまだ知られていないけれど、こんな部分もあるんですよといった補足説明の延長線上にある場合はウソにはなりません。しかし、商品やサービスにないものやない機能をあるように見せるのはアウトです。この辺は「景品表示法」などの法律で制限されていたりするので、消費者に誤解を与えるような表示をすると罰せられることになっています。

と難しいことを書きましたが、例えば「美味しくないものを美味しく見せろ」とか、「カッコ良くないのにカッコ良くしてくれ」とか、「お得でもないのにお得感を出せ」といった消費者にウソをつくようなことはしないし、そういうことを求める企業やお店の仕事はしない、もしくは是正していただくということにしています。あくまでも僕基準の判断ですが、その商品やサービスを受ける(購入する)お客様にウソをつく行為は、短期的にはその企業やお店の利益になるかも知れないけれど、長期的には不利益になると思うからです。双方にとって良くなることがデザイナーの仕事だと思います。お金を貰えば何でもするというがプロとは考えていません。

「ま、そんな硬いことは言わずに...」ということもままありますw




2.ムリはしない

デザイナーにも得意な分野や好きなことがあります。なんとなくデザイナーは万能で、プロはどんなオーダーにも応えるべきだと思われがちですが、そんなことはないと僕は思っています。和風のデザインが得意なデザイナーがいれば、イラストを使うのが上手い人もい居ます。またタイポグラフィを得意とする人がいれば、ページの多い編集ものが好きな人も居ます。プロなので依頼者のどんなオーダーにもちゃんと応えますが、それでも得手不得手はあります。

ムリをしないと言うのは、不得意なことはしないということではありません。今まで経験したことのないジャンルの依頼があり、悩みながら苦労して、自分なりに勉強をして完成させることで新たな境地が開くこともあります。またそのジャンルや業界のことを知らないが故に、思いがけない新しいアイデアが出てヒットするということもあります。僕の言う「ムリをしない」とは、できないことやったことのないものの場合、時間が掛かる可能性があること、またそれを許して欲しいことなど伝え、待っていただけるようであれば全力でデザインをする。そして待てないという場合は僕の知り得る限り、その依頼内容の合う、それを得意とするデザイナーを紹介することにしています。カメラマンでもライターでも同じです。紹介するということは、自分が受けると同じく責任を持つということにもなるんだけど。。

そうこうしてる内に、仕事を依頼してくださる方々が僕の得意そうな仕事や、僕ができそうな仕事を持って来てくれるようになる感じです。ほんとうにありがたい話です。



3.ヒトに会う

フリーランスになって事務所を設立しても、すぐに忙しい訳ではありません。電話が鳴らない日もあったり、何もすることがなくて自分の名刺を何度もデザインしたりすることがありました。要するに暇なのです。。そして暇ということは、当然収入がないということになります。フリーランスですから、サラリーマンのように仕事が無くて暇でも給料をくれる人は居ません。すべて自己責任ということになります。
なので収入がないと段々と外に出なくなります。映画を見るにも食事をするにも、電車に乗るにも人に会うにも、外出するとお金が掛かります。それに稼いでもないのにフラフラと外に遊びに行くことは、家族の手前もなかなかできないものです(笑

そして、人と会う機会が減っていくと不思議と仕事も減っていくような気がします。人に会うと新しい情報を教えてもらったり、アドバイスをいただいたりすることが多く、何より楽しくて刺激があります。今ではお陰さまで少しは忙しくなっていますが、どんなにスケジュールが詰まっていても、できるだけ人と会うようにしています。自分から会いたいとお願いしたり、飲みに行こうと誘ったり、イベントを興したり、誘われたらなるべく断らないように積極的に機会を作ります。

暇だと仕事は更に減り、忙しいと更に仕事が増える。デザイナーのあるあるかも知れません。動き続けることで常に新しい発見を繰り返しているのだと思います。サメのように止まったら呼吸ができないみたいなw



と、長々と書いてきましたが、こうして書いてみると別にデザイナーでなくても同じことが言えるような気もしますね。デザイナーとして必要だと思うことは、また機会があれば書いてみたいと思います。



トップの写真は、鉛筆です。今はほとんど使わないのですが、鉛筆を削るとものすごく落ち着くので、今もアイデアに詰まった時に削って眺めたりしています。みなさんもお試しください。


【追記】
後輩の駆け出しフリーランスデザイナーによく質問されることに、著作権やギャラの不払いなどの対処法があります。クライアントとの関係などがあり、法律や正論でスパっと割り切れないことも多いのですが、一応の法律的な知識もあれば役立つこともあるかと思います。この辺のこともフリーランスとして食っていくためには大切なので、また書いてみたいと思いますが専門家に相談することが一番です。とりあえずは参考までに↓

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