デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

花柄なんですよ

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このストライプの「scottie」が好きです。


近くのスーパーや薬局、ドラッグストアではなぜか花柄のデザインのものが多いのです。おそらく購買層がほぼ女性ということもあり、花柄がよく売れるのだろうとは思いますが、このストライプを最近は見かけなくなって寂しく思っていました。

ティッシュは毎日使うものなので、やはり気に入ったデザインのものにしたいと思っているんですが、このストライプがなかなか売ってない。。


ということで、「ティッシュ」「松永真」で検索した結果、Amazonで買えることがわかり、速攻で購入。とりあえず20箱ポチッとしましたw


僕が検索したように、このストライプ・デザインの「scottie」は、日本を代表するグラフィック・デザイナー 松永真氏のデザインです。1986年にデザインされた超ロングセラー商品。僕がデザイン業界に入る少し前に発売されたことになります。このパッケージ、とてもシンプルな「ストライプ」のデザインですが、実はモチーフは「花柄」だと言うことを知る人は今や少ないかも知れませんね。




国際コンペでオリエン破り

このスコッティは、国際コンペティションとして「花柄をモチーフに」という指定があり、なおかつ「商品ロゴも決められたものを使う」という条件だったそうです。松永氏はその条件をすべて捨て去り、花柄をストライプで表現し、商品ロゴも変更して提案したのでした。コンペでの条件破りな訳ですから、これは反則です。プレゼンしても落とされることになるはずですが、なんと松永氏のデザインが通り、商品ロゴまで変更し、結果CIにまでつながってしまったという伝説の商品なのです。スゴいですね。

これは僕も偶にやってしまうことなのですが、デザインについて依頼されたものを作らなかったり、時としてまったく別のものを提案するということがあります。それは、今その依頼者に一番必要なことは何か?を考えた末、依頼者が望むものとは違うけれども、おそらくこうするのが今後も考えるとベストだと思うものを提案したいからです。「コンセプトが決まってるので、ロゴだけをデザインして欲しい」という案件でも、場合によってはそのコンセプトから再度提案することもあります。




丁稚、門前の小僧

僕がまだ駆け出しの頃、世はCIブームでした。一部上場企業や銀行、大学、小さな会社までがCIをするような時代でした。そんななか、僕は幸せなことに大きなCIや広告案件をいくつも抱える会社(デザイン事務所)で働いていました。

ある大手銀行のCIでは、今回お話した松永真氏が総合ディレクターとして指揮を取られる案件があり、僕の務めていた会社がその具体的なアプリケーションデザインを担当していました。僕はまだ駆け出しで、上司や先輩方がされるデザインを眺め、ほんとに末端の部分をお手伝いするような感じでしたが、とても勉強になった良い時期となりました。

デザインの細部や見せ方は勿論のこと、その考え方や進め方、プレゼンテーションの仕方など毎日が発見と刺激の連続でした。ほとんど家にも帰れなくて、ほんとに安い給料でしたが、今望んでも買えないものを沢山得たような気がします。まさに丁稚、門前の小僧状態でしたが(笑



おっと、スコッティの話でした。。


そういう訳で、このストライプの「scottie」は、僕にとって思い入れの強い商品で、尊敬するデザイナーの仕事でもあり、身近にあるとなんとなく初心を思い出す一品なのです。

デザインは結果がすべてなのですが、本当はそのプロセスとストーリーづくりが大切なんだなぁと、これを見ていつも思うのでした。


 

スコッティ ティシュー 5箱パック [ヘルスケア&ケア用品]

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松永真、デザインの話。+11

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松永真、デザインの話。

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