デザインの余白

グラフィックデザイナーのひとりごと。デザインのこと、京都のこと、そして気になること。

美味いカツカレーと良いデザイン

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事務所から歩いて5分のところにある「ますや」さんのカツカレー。
チキンカツとトンカツともに500円。8%になってからは、消費税が要るようになったんだけど、それでも安いと思います。

僕はもう20年以上通ってて、未だにきちんと手作りされてます。そして、ものすごく丁寧に「おおきに、ありがとうございます」と大将と女将さんがお客さんに言っておられて、こちらが恐縮してしまいます。小さいけれど、とっても美味しくて気持ちのよいお店です。



で、この「ますや」さんで、いつも考えることがあります。
サービスやモノとその対価、満足度なんかについて。


 

「お客様は、神様」のようなことを本気で思っている人が居ます。
これはお店の経営者も客もがそう思ってる場合があるようなんだけど、「何があっても客が偉い」というのはちょっと違う。



他の飲食店や別の業種でも同じなんだけど、僕の基本的な考え方は...

「モノやサービスを提供する人(企業)とそれに見合った対価で購入する人(企業)」はお互いに「対等」であるということ。もっと言うと「依頼者」と「制作者」は対等であること。



お店に来る客(依頼者:クライアント)と料理やモノを提供するお店(制作者:デザイナー)は、どちらが上でも下でもない関係だということです。実際には、発注側と受注側で圧倒的な力関係があったりするんですが。。



例えば魚の場合は、魚を捕る漁師さんから卸売市場、仲買人を通じて、最終的には魚屋さんやスーパーで鮮魚やお造りとして買ったり、または料亭やレストランなどで調理された状態で提供される。僕たちはランチの一品にする一尾の魚のために船を買って海に出ることができないし、そんなことをしては割に合わない。危険も伴う。(趣味で釣りをする人は別だけど)

自分にはできないことに対して、それに見合うものと交換するんだけど、人類には「お金」という便利なものがあるので、モノやサービスに対してそれを支払うことになっている。

なので「魚」の価格には、モノとして(大きさや質)の価値とそれを捕るために費やした原材料、燃料、人件費なんかも含まれる。そして何よりも漁師さんの経験や勘、天候等という目に見えないものも多少なりとも含まれると思うのです。



ますやのカレーが500円ということを「安い」と思うか「高い」と思うか、「価格と商品、サービスが釣り合ってる」と感じるかは人それぞれだけど、出されたカレーだけでなくて、その向こうにある見えない何かのことを思うと大切にしないといけないものが見えてきたり、「いただきます」と素直に感謝したりできるんだと思います。

 

デザイン的な話は全くなかったですが、僕は見えない向こう側や見えないモノの価値を大切にデザインしたいといつも思っています。

 

 

蓚酸アルマイト カレー皿 117-A

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