「ロットリングと三角定規」から「デザインの余白」へ、年明けとともにこのブログのタイトルを変えました。
僕は「細部にこそ神は宿る」という言葉の通り、ディテールに拘ります。
そして、細部への拘り(配慮や計算と言い換えても良いかも知れません)と同じくらい「空(あ)き」を気にします。白場(しろば)とも言いますが、平面のグラフィックデザインにおいてはこの空間=空きがデザイン全体を決定する重要なファクタだと信じています。
デザインは情報の蓄積と再構築と考えているので、様々な「伝えるべき情報」がデザインを構成する要素となります。そして「伝えたいと思う情報」を「伝わる情報」に変換し、それらを視覚的に形付け、整理して「見せる」ものにします。単に情報を多く詰め込むことが「伝わる」とは限らないし、また削りすぎた情報は分かり難いものとなります。情報が少ない方が、デザイン的にはソリッドで高級感のあるイメージにしやすいかも知れないけれど。
情報が多いということが決して親切で良いデザインでないということは、某ショッピングサイトを見てもわかります。日本最大ということですが、僕はあのサイトを見ても決して購買意欲を唆られません。
それはさておき。
何かの情報を伝えようとするとき、ただ順番に並べたり、詰め込んだりするだけではなく、白場=空きを持たせることで、直接的には読み易くなり、間接的にはリズムが出たり、シズル感やニュアンスを出すことができます。そして「無駄な空き」は物足りなさを感じますが、「計算された空き」はデザインに緊張感を生みます。
日本的な美、絶妙なバランスと緊張感。
僕は白い紙(空間)に、ただ一点あるポイントを探し、その点ですべてのエレメントを支えるような作業がデザインであるとも考えています。
そして目に見えない「間合い」のようなものや日本的な感性。
これらを現代的なデザインに少しでも取り込めれば良いなぁと思っています。
ま、ブログのタイトル変更は、内容が分かり難いということが基本的な理由なんですが。(ロットリングってなんですか?ということを良く聞かれました)
ということで
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくおつき合いください。
今は「Too.」となってしまいましたが、僕は「いづみや」時代の三角定規を未だに大切に使っています。この頃の三角定規が厚くて反りが少なく、ロットリングで0.1ミリの罫線を引くには最適でした。
版下を作るにはまず「トンボ引き」から。今では全く使いませんが、ロットリングは大切な無くてはならない道具でした。均一な線が引けるはずの製図ペンなのに、人によって太さが若干違ったりしたものです。僕はロットリングを使うのが上手かったので、先輩のために仕事前に何十枚というケント紙にトンボを引く毎日でした(笑