例えば、自分で真っ直ぐな線を引くことと、PCで真っ直ぐな線を出力することは違う。
結果は同じ0.1mmの罫線なんだけど。
今はPCでアプリケーションを立ち上げ、画面上の2点をクリックして後は線幅を指定するだけの簡単で楽な作業。失敗もないし、手で線を引くよりも確実で美しい。(はず...)
昔はたった1本の線を引くためにかなり神経を使い、少し大げさだけど失敗してはいけないという緊張感があったように思います。
違いは「紙に書く」か「紙に出力する」かの違い。
そして、この差が意外に大きいと思ってます。
僕はこの「紙に書く」と「紙に出力する」の両方の時代を経験していますが、「紙に書く」しか方法のなかった時代のデザイナーは「目感」(めかん:目で測る感覚のようなもの)が効いていたように思うし、目測で紙の中心やモノが平行かどうか等が分かっていました。
今はPCでその殆どすべてを作業するので、要らない能力かも知れません。
このことと直接関係があるのか定かではないんだけど、PCでデザインをするようになって以降、デザイナーはみな諦めが早くなったような気がします。ほぼ無制限に「アンドゥ(やり直し)」ができるからかも知れません。
極端な言い方だけど、一本の線の重みが違うような気がします。
「やり直しができるということを前提にデザインをする」ということは気分的にも楽で、ストレスも少ないんだけど、やはりどこか甘くなっている…
ということのないように、いつもピンと張り詰めた部分を持ちたい。
自分の手で真っ白な紙にスーッと美しい線を弾けるような感覚を持ち続けたデザイナーでありたいと思います。
モニタの中にはない、0.1ミリの違いが一目で分かる感覚を研いでおきたい。
なので鉛筆もピンピンに刺さるほどに削るのかも知れませんw
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